カトリックとプロテスタントの違いとは?結婚式の条件など簡単に解説

日本は世界でも少数派の多神教の国。

国民が多くの神を信仰していいおかげで、国内で宗教的な争いは表立ってはほとんどありませんよね。

ですが世界に目を向けてみると、一神教の方が多く存在しているようで争いも多い。

一神教の代表例として、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教あたりはあまりにも有名です。

今回は、キリスト教の中でも2つに分かれている「カトリック」と「プロテスタント」

この2つの違いや結婚式の条件など細かい部分も含めて解説していきます。

カトリックとプロテスタントの違い

まずはカトリックとプロテスタントとは何かから違いについてです。

・カトリックは、ローマ教皇(法王)を中心として、全世界に12億人以上の信徒がいる、キリスト教最大の宗派です。

別名「ローマ教会」、「ローマ・カトリック教会」とも言います。

・プロテスタントは、中世の宗教改革でカトリック教会から分かれてできた宗派です。

日本では「新教」とも言われています。

違いは権威の在処

カトリックとプロテスタントの違いは、簡潔に述べるならば権威の在り処にあります。

2つの宗派は神の存在を第一に置くことは同じですが、神の次に大事にするものが違うのです。

カトリックはなんと言っても「伝統性」が特徴で、歴史ある聖堂に、歴史ある儀式の数々

そこには長く続いてる理由と、ちょっぴり古めかしい部分とが合わさっています。

カトリックのもうひとつの特徴は、「強い一本集権性」

教皇様をトップとして、組織構造は見事にピラミッド形式となっています。

そして、カトリックの場合影響力の順に並べると、

神 ⇒ 教会 ⇒ 聖書 ⇒ 信者

と、なります。

教会が神の言葉を取り次ぐことから神の次に権威があり、聖書はその次にという考え。

そして、プロテスタントは『聖書主義』

聖書こそが唯一頼れるもので、他を頼る必要もないという考えが基本です。

そのため(聖書で理想とされてる)清らかさを強く求める ところも多いのです。

プロテスタントのもうひとつの特徴が、「千差万別」

個々の教派・教団によって、驚くほど意見が違い、真反対なこともしばしばあります。

そしてプロテスタントも、影響力の順に並べると・・・

神 ⇒ 聖書 ⇒ 教会・信者

と、いう順番になります。

◆プロテスタントは教会の権威は認めつつも、聖書は神の言葉なので神の次に権威があるのは聖書であり、聖書の言葉に従うべきであるという考え方。

その他の細かい違い

カトリックとプロテスタントの一番大きな違いが分かったところで、その他の細かい違いを表にまとめました。

     カトリック プロテスタント
教会が ゴージャスだが古い シンプル(質素)
教会のなかに 像と絵がたくさんある 十字架くらいしか無い
教会のなかに ざんげボックスがある ざんげボックスは無い
教会で よく儀式をする よく讃美歌・ゴスペルを歌う
聖職者を 神父・祭司と呼ぶ 牧師と呼ぶ
聖職者は 女性はなれない 女性でもなれる
聖職者は 反神父はみんな独身 妻がいてもいい
礼拝を ミサと呼ぶ 礼拝と呼ぶ
聖書に解釈が 書いてある 書いてない
マリア様を とても敬う あまり気にしない
ケネディ元大統領を 尊敬している あまり気にしない
手で十字架を よく切る 全く切らない
教会の十字架に イエス様がはりつけ イエス様はついていない
修道者(シスター) いる いない
規則・マナー 厳しい わりと自由
教会での歌が ほぼ静かめ ノリノリなのもある

信者の数の違い

キリスト教は3大宗教と呼ばれているたけあって、全世界の信者は20億人を超えています。

日本の人口が現在約1.2億人ですから、日本の人口の16倍以上になりますね。

その中で、カトリックとプロテスタントの信者数はそれぞれ、

カトリック 約11億人

プロテスタント 約3.5億人

となってます。

人数的には、カトリック派が多いんですね。

国別の割合・比率

アメリカ

国民の約半数である約49.4%がキリスト教信者です。

そのなかの23.2%がカトリック信者で、残りの26.2%がプロテスタント信者とされています。

また、無宗教の国民19.8%を除いてほとんどの国民がその他の自分の宗教を信仰しています。

ドイツ

国民のキリスト教信者は、全体の約69.8%で国民のほとんどがキリスト教信者です。

そして、カトリック信者が国民全体の31.6%で、プロテスタント信者が38.2%。

二つの宗派の信者がほぼ同じ割合で存在します。

イギリス

イギリスでは、国民の約64.8%がキリスト教信者とされています。

その中の51.3%がプロテスタント信者で、残りの13.5%がカトリック信者で圧倒的にプロテスタントが多いです。

アイルランド

アイルランド国民は、全体の約88.8%がキリスト教信者です。

そして大多数の84.2%が、カトリック信者で残りのごく少数がプロテスタントとなっています。

カトリック信者が多い理由は、5世紀の聖パトリックによる布教が大きく関わっており、植民地時代においても信仰を固辞し続けたことにあると言われています。

 

結婚式での違い

結婚式で挙式を挙げる場合、今ではだいたい「教会式」の人が多いですよね。

‟美しいドレスにバージンロード”そんなイメージの一方で、教会式は「キリスト教の式」でもあります。

そこでもまた、カトリックとプロテスタントならではの違いなどがありました。

カトリックの場合は、結婚する2人のうち、少なくとも1人がカトリックの信徒でないと、結婚式ができません。

また、「初婚であること」も式を挙げるための条件。

ただし、前の夫もしくは妻と死別している場合は再婚でも大丈夫なようです。

式を進めてくれるのは「神父」で、バージンロードの色は「赤」や「緑」。

祭壇には、十字架にかけられたキリストの像が掲げてあります。

プロテスタントの場合、結婚式を挙げるのは信者でなくてもOK!

礼拝や勉強会(講習)に参加したあと、教会から認められれば挙式ができます。

式を進めるのは「牧師」で、バージンロードの色は「白」。

祭壇の十字架にキリスト像がついていないのも特徴です。

カトリックとプロテスタントの共通点

カトリックとプロテスタントで違う部分が多いですが、やはり同じキリスト教ということで、共通点も多いです。

ここでは、キリスト教の基本部分について説明していきます。

◆聖書

日本人にもおなじみの、キリスト教の聖典。

キリスト教の信仰によれば、神様は聖書を通して人間に話しかけてくださるというもので、人間とは何か、神様に対する人間の立場はどのようなものか、神様は人間から何を期待しておられるか、聖書によって教えてくださるという考え。

聖書には旧約聖書と新約聖書という二つの部分があり、簡単に説明すると

旧約聖書=イエス・キリスト登場前
新約聖書=イエス・キリスト登場後

聖書の原典は、旧約聖書がヘブライ語で、新約聖書がギリシャ語で書かれています。

なので、「英語聖書」とか「日本語聖書」というのは、正確には「各国語に翻訳された聖書」ということになります。

◆イエス・キリスト

いうまでもなくキリスト教における「キリスト」そのもの。

「キリスト」とは救世主を意味する語で、つまり「イエス・キリスト」とは「キリスト(救世主)であるイエス」という意味の美称・尊称ということです。

水をぶどう酒に変えたり、病気の人を癒やしたり・・・というのは有名な話ですよね。

語弊を恐れず言えば「キリスト教はイエス・キリストを拝む宗教」。

彼なくしてキリスト教とは言えないし、彼なくしてキリスト教の論理は通らない。

名実ともに、キリスト教の看板というわけです。

◆主の祈り

キリスト教における「スタンダードな祈り」扱いのもの。

イエス・キリストが手ずから教えた祈り(マタイによる福音書6:9-13)ということで、どこの教派でも重要視しています。

これも日本語訳の違いから、いくつも種類があります。

◆使徒信条

西方教会において、「キリスト教の一番重要な教義」と、大昔の会議で決まった文言。

「『キリスト教を名乗るなら必ず守らないといけないもの』と合意した内容」とも言えます。

プロテスタントでもカトリックでも「使徒信条唱えないところはモグリ」と意見が流れてるくらいには、伝統的で重要視されてる部分とも言えます。

これも例によって、日本語訳による違いがあります。

キリスト教は外から来た宗教ということで、翻訳による差異がかなり多いです。

ここでは、比較的古めかしい口語訳バージョンを引用します。

我は天地の造り主、全能の父なる神を信ず。
我はその独り子、我らの主、イエス・キリストを信ず。
主は聖霊によりてやどり、おとめマリヤより生まれ、
ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、
死にて葬られ、陰府(よみ)にくだり、三日目に死人の内よりよみがえり、
天にのぼり、全能の父なる神の右に座したまえり。
かしこよりきたりて生ける者と死にたる者とを審きたまわん。
我は聖霊を信ず、聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪のゆるし、
からだのよみがえり、とこしえの命を信ず。
アーメン

 

なぜキリスト教は分裂したのか

大きな分裂は、1054年の東西教会の分裂と16世紀のプロテスタント運動にあります。

どちらも宗教的な問題もありましたが、政治的な対立が主体的な機動力となりました。

前者の背景はローマ帝国の東西分裂

東ローマ帝国は自身の首都に宗教権威を置き、西方教会と対峙する構造に。

フィリオクエ条項という教義上の対立もありましたが、政治が分裂を決定付けました。

後者も政治的な問題があり、ハプスブルグ家、諸候・都市の世俗的な思惑などが絡み合い17世紀の30年戦争の結果、西方教会の分裂状態が固定されたと言えます。

贖宥状(罪の許しではなく、償いを軽減するものであり免罪符は誤訳)問題はあったものの、社会を動かしたのは残念ながら世俗問題です。

 

まとめ

カトリックとプロテスタントの1番の違いは、神の次に何に重きを置いているかということ。

カトリックは教会で、プロテスタントは聖書・・・と、どこから神の言葉が人々に告げられるかという考えの違いでした。

キリスト教の歴史はあまりにも深く、今回の記事だけではすべてを語ることはできませんが、表面的なところからまずは知っていただけたらと思いました。

近年のテロや戦争の理由は宗教が大きくかかわっていますが、様々な宗教の歴史背景を知り、お互いに理解を深め、分かりあうことに繋がればいいなと思います。

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