「老兵は死なずにただ消え去るのみ」
若い人たちは知らない人が多いと思いますが、高齢のサラリーマンの方々がたびたびこの言葉を使っている印象があります。
この「老兵は死なずにただ消え去るのみ」の言葉は誰が言い始めたのでしょうか。
そしてこのことわざにはどんな意味を持っているのか。
この記事では「老兵は死なずにただ消え去るのみ」の意味を解説していきます。
老兵は死なずにただ消え去るのみとは
「老兵は死なずにただ消え去るのみ」
意味は、役目の終わったものは表舞台から去るという意味。
このことわざの言葉は、太平洋戦争における連合軍最高司令官であり、戦後日本の占領体制におけるGHQ総司令官としても知られる
マッカーサー元帥の引退演説の締めくくりの一節。
マッカーサー元帥は自らの軍人生活の終焉をこの言葉で締めくくり、歴史の表舞台から静かに去っていきました。
今では政治家やサラリーマンが引退や退職するときに、この言葉を好んで使うという風潮ができました。
この言葉はマッカーサーのオリジナルの言葉ではない
この言葉はマッカーサー元帥のオリジナルの言葉ではなく、もともとはアメリカの士官たちに愛唱されていた歌の一部なのです。
ですが、彼が引用したこの一節は、日本では「老兵は死なずにただ消え去るのみ」と訳されたのです。
この訳し方は、本来の意味とは少しずれているのではないかという意見が多数あるのです。
もともとの意味は
「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」は『善意は死なず』という歌のパロディとのこと。
“Kind words can never die”が元の歌詞です。
それをマッカーサーは“Old soldiers never die”と言い換えました。
“Kind words can never die”の歌詞の場合は、
「善意は死なず。善意は死なず」という感じで物事に対して肯定的なリフレインがあるだけで、「消え去るのみ」がない。
“Old soldiers never die”は、元歌のままだったら、
「老兵は決して死なない。死なない。死なない。決して死なない」とすべきですが、日本語訳では「老兵は死なずに消え去るのみ」と訳されているんです。
最後の部分を「消え去るのみ」したのには論理的な意味はなくて、言葉遊びというか自虐的な冗談なのかもしれません。
だから、「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」という意味があいまいな訳をそのまま、理解するのが正しいのではないかと思います。
ポジティブな意味での老兵
‟老兵”と聞くと、通常の日本語では否定的な意味で使われることが多いですよね。
もともと「兵」とは肉体的な壮健さ、強靭さをもって美徳とされています。
「老」という言葉が持つイメージは、そんな「兵」の美徳とは正反対ですし、相容れないものですよね。
ある人を‟老兵”という場合、
・衰えたのに無理をしている
・老いさらばえても現役にしがみつく
といった、年をとることのマイナスイメージを表現している場合が多いのです。
しかし、マッカーサー元帥の“Old soldiers”は、日本語的な負のイメージではなく、
むしろ幾多の戦場、激しい砲火、そして殺意に満ちた刃をくぐり抜けて生き抜いてきたしぶとさ、したたかさへの肯定的な評価と結びついたものなのです。
平和な時代ならいざ知らず、戦乱の時代における兵士たちにとっては、己の使命を果たし、すべてを見届けて静かに退場していくことは、それだけでも特権というに値するのです。
そんな‟老兵”たちに尊敬の意を込めてマッカーサー元帥は”Old soldiers”と表現したのでしょう。
まとめ
以上、「老兵は死なずにただ消え去るのみ」の意味の解説でした。
少々難しいお話だと思いますがいかがでしたでしょうか。
自分が前線から退くときに、「老兵は死なずにただ消え去るのみ」と言って去るのもまたカッコいいかもしれませんね。
この言葉はマッカーサー元帥がとある歌詞を変えて、自身が引退する際に発言したことから話題になりました。
皆さんが使う際は、そんな豆知識を披露するのもまた面白いのではないでしょうか。
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