「アルバイト、パートさん募集!」
よくお店の前に張ってあったりしますよね。
でもよくよく見てみると賃金や労働時間など働く条件はどちらも一緒。
なんとなくアルバイトは学生さん、パートは主婦の方など、ざっくりとしたイメージはありますが、別々の呼び方があるからには社会保険や責任など、何か違いがあるのでしょうか。
そこでこの記事では、アルバイトとパートの違いを解説していきます。
アルバイトとパートの違い
一般的なアルバイトとパートの違いはこんな感じでしょうか。
アルバイトは本業(学生など)があり、副業としてその仕事についているイメージ。
パートは女性(特に主婦)の“アルバイト”のことをパートと呼んでいる。
上記のようなイメージがあると思いますが、まず2つの法律の区別を見てみましょう。
労働基準法では
まず、労働基準法では
・アルバイト
・パート
・正社員
・契約社員
・臨時社員
などの上記5つに法律的な区別はありません。
全てひとまとめに「労働者」と呼ばれます。
パートやアルバイトであっても、フルタイムで働く正社員と同じ規定が適用され、労働時間や労働日数など一定の基準を満たしていれば、有給休暇の取得も可能です。
パートタイム労働法では
続いてパートタイム労働法では、パートもアルバイトも「パートタイム労働者(短時間労働者)」と定義されています。
パートタイム労働者とは、簡単に言うと「1週間の所定労働時間が、勤務先の正社員の所定労働時間よりも短い労働者」です。
例えば、正社員の1週間の所定労働時間40時間に対して、1週間の所定労働時間が35時間の場合は、パートタイム労働者ということになります。
2つの区分は会社や店側が独自に定義
労働基準法とパートタイム労働法を見てみると、アルバイトとパートの法的な区別が無い事は分かりました。
ですが、法的に区分が無いといっても企業側で定義を決めていることがあります。
例えばA店とB店が下記のようにアルバイトとパートを区分しているとします。
例)A店
アルバイト→高校、短大、大学など未婚の学生
パート →結婚している女性
例)B店
アルバイト→短期で働く人
パート →長期で働く人
A店とB店は全く2つの定義づけが違いますよね。
このように、それぞれの企業が独自で定義づけした上で、「アルバイト」と「パート」の業務内容や雇用条件を変えている求人が出てくるのです。
求人よっては曖昧だったり、まぎらわしい書き方をしているものもありますので、応募する際には、名称によって条件が異なるのかをしっかり確認しておくことが大事です。
「アルバイト」と「パート」が一般的に区別されている理由と語源
そもそも法律的に違いは無いのに、なぜアルバイトとパートが区別されているのでしょうか。
その理由と語源を解説します。
もともとパートは「フルタイム」に対する言葉で、「パートタイム」を略したものです。
正社員のようにフルタイムで働くことが難しい主婦や子育てをしている女性の働き方として広まりました。
そのため、「パートをするのは主婦」というイメージが定着しています。
→のちのち「パート」はクリーニング店やスーパーなど、その地域の地元に住んでいて長期で働く主婦を対象としている求人が多くなりました。
アルバイトは、「勤労」を意味するドイツ語「Arbeit」から生まれた言葉です。
明治時代の学生が、学費や生活費を賄う仕事をするときに「アルバイトをする」と表現したことから、学生が勉強のかたわら働くことを指すようになりました。
→実際には、学生のほかに、夢(歌手、役者など)を目指している人や、正社員など何かしらで働いているのですが所得が少ないので副業的にしている人もいます。
つまりアルバイトは、「本来するべきことがある人が、お金を稼ぐために空いた時間で働く」という使われ方をしています。
このように、日本では似たような2つの言葉が生まれて、違う意味の言葉のように定着したということです。
「アルバイト」「パート」は社会保険に加入できないのか
アルバイトやパートも、以下要件を満たせば社会保険(健康保険や厚生年金)の加入対象となります。
・最初の雇用契約が2カ月以内の期間の定めがある場合には加入できないが、2カ月を超えることがわかった時
・1週の所定労働時間と1カ月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上であること
また、上記に満たない場合でも、下記を満たしていれば加入対象となります。
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金88,000円以上(*)(年収約106万円以上)
・継続勤務1年以上が見込まれること
・従業員数501人以上の企業(厚生年金の被保険者数)
・学生は除く
*以下は1ヶ月の賃金から除外できる。
・臨時に支払われる賃金や1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)
・最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
「アルバイト」と「パート」のメリット・デメリット
2つの語源や社会保険加入の有無などが分かったところで、今後働きたい方のために、
この2つのメリット・デメリットをお伝えしますので、ぜひ今後の参考にしてみてください♪
メリット
1.自分の都合で曜日・時間帯を選べる
最大のメリットは、働く曜日や時間帯を自分の都合に合わせて自由に選べることです。
子育て中の主婦や学生など、家庭や学業と仕事のバランスをとりたい人にとっては、働きやすい雇用形態といえます。
2.求人が多い
未経験で応募できる案件も含め、求人数の多さや種類の豊富さもメリットです。
さらに業種・職種ともに幅広い選択肢がそろっています。
また、正社員の募集をしていない会社で働きたい場合に、パートやアルバイトとして勤務し、スキルを積んでから正社員登用されることを目指すという方法もあります。
3.仕事を掛け持ちできる
正社員と違ってダブルワークを認められることが多く、曜日や時間を調整すれば、複数の仕事を掛け持ちして収入アップを図ることができます。
4.短期の仕事がある
イベントの仕事で1日だけ、お中元やお歳暮の時期だけなど、短期の仕事があることも魅力です。空いた時間を有効活用できます。
5.辞めやすい
正社員に比べると、業務内容にそれほど大きな責任を負わされることが少ないため、辞めやすいケースがほとんどです。
ただし、アルバイトやパートであっても、急に辞めてしまうとシフトが回せなくなるなど迷惑がかかるので、1カ月以上前には退職の意思を伝えることも必要です。
デメリット
1.正社員に比べて収入が低くなる場合がほとんど
正社員と同じく、1日8時間働いたとしても、パートやアルバイトの時給だけで正社員の月給を上回るケースは少なくなります。
2.昇給や賞与に期待できない
パートやアルバイトも昇給することもありますが、正社員の昇給に比べると限定的です。
3.手当や福利厚生面で不利
交通費が支給されるパートやアルバイトはたくさんあります。
しかし、住宅手当などの手当類や福利厚生面での支援が受けられる企業は少なく、正社員に比べると不利と言えます。
4.安定感がない
シフト制で働く場合、毎月の収入が安定しづらく、社会的にも不安定な立場として見られることが多くなります。
ただし、学生のアルバイトについては、就職前の学生期間のみということもあり、立場上不安定に見られるということはありません。
5.仕事内容が限られている
任される仕事が限定的になる場合が多くなります。そのため、幅広い業務に携わってみたい人、責任の重い仕事をしてみたい人にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。
学生と主婦と扶養との関係
所得税や住民税の計算をする時、養っている家族が何人いるかで税金が考慮されています。
いわゆる人的控除といわれるもので、扶養家族が多いほど税金が安くなるというものです。
人的控除には、
・配偶者に適用される「配偶者控除」(妻)
・扶養親族に適用される「扶養控除」(子供)があります。
これらはいずれも給与所得で年収103万円以下の配偶者や親族であれば適用されます。
ですが、年収が103万円を超えると自分に所得税や住民税がかかるだけでなく、親や夫の支払う税金が増えることになります。
アルバイトで年間103万円以上稼いでいる人で、親など世帯主の扶養者(学生)である場合は、世帯主の納める税金が増え、世帯全体の手取額が減ります。
これは世帯主が扶養者控除(16歳以上の場合、1人当たり38万円)を受けられなくなるためです。
上記は主婦の方も全く同じです。
ついアルバイトに精を出したら、親や夫の税金が増えた・・・ということになりかねないので、学生や主婦の方は注意が必要です。
2018年から「103万円の壁」が「150万円の壁」になる!ただし130万円の壁もあり
2018年から女性の社会進出を促進する為に「103万円の壁」に代わって「150万円の壁」に引きあがる税制改正が決まりました。
ただし、年収150万円まで働けると思いきや、こちらには注意点があります。
それは年収が130万円を超えると、親や夫の健康保険の扶養からはずれることになります。
つまり、国民健康保険に加入して、健康保険料を自分で支払う必要があるのです。
学生の方も、扶養親族に適用される「扶養控除」が受けれなくなり、自分で健康保険を払うことになるとかなりの負担になると思うので、ぜひ注意してくださいね。
まとめ
アルバイトとパートの違いは法的に区分は無く、ただイメージだけが世間に浸透していきました。
ただ、法的に区分が無いといっても、雇う側の企業が独自のイメージを定着させているので、求人に応募する際には条件をよく確認することが大事です。
社会保険も一定の条件を満たせば加入できますのでご確認ください。
雇う側も働く側も気持ちよく働けるように、企業に応募の際には条件を再確認するなど、よく話し合うことをオススメします!
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