戸籍謄本と戸籍抄本の違いとは?婚姻届やパスポートに必要な知識

「戸籍謄本(こせきとうほん)」と「戸籍抄本(こせきしょうほん)」

人生で大事な場面では必ず使う書類で、自分を証明する”戸籍”が載っていますが・・・

必要になった時にいざ役所で戸籍の証明書を入手しようとすると、二種類の戸籍の書類があり戸惑った方も多いはず。

婚姻届やパスポートでは謄本と抄本のどちらが必要なのか。

この記事では、戸籍謄本と戸籍抄本の違いと、必要な場面を解説いたします。

人生で必ず戸籍謄本と戸籍抄本が必要になる場面があると思いますので、ぜひ違いをご確認ください。

まずはじめに「戸籍」とは

「戸籍」は、日本国民であることの証明のようなものです。

「戸籍」には、その人が出生してから死亡するまでのさまざまな事項が記載されています。

これを「戸籍原本」といいます。

「戸籍原本」には、いつどこで出生したか、誰と誰の子供なのか、いつ婚姻したのか、子どもは誰なのか、いつ死亡したのか、などその人の記録が細かく記載されています。

この「戸籍原本」は、本籍地の役所で管理されています。

「戸籍原本」は役所から持ち出すことができないため、私たちが手続き等に「戸籍」が必要になったときには、この「戸籍原本」の写しを交付してもらうことになります。

それが「戸籍謄本」「戸籍抄本」です。

 

戸籍謄本と戸籍抄本の違い

戸籍謄本は、その戸籍に入っている全員の名前や、親の名前、続柄、生年月日などが、載っています。

本籍・氏名以外に、本人の戸籍情報と妻(花子)の戸籍情報も記載されています。

一つの戸籍に記載されている全員の身分関係を写したものなので、「全部事項証明」とも言います。

仮に2人に子供が生まれれば、その子供の戸籍情報もこの書類に記載されます。


戸籍抄本は、その戸籍の中の一人分だけが、抜粋して載っているものです。

1つの戸籍に記載されている一部の人に関する記述を抜き出して写したもので、「個人事項証明書」とも言います。

「謄本」と「抄本」現在は名称が変わった?

昔の戸籍の原本は、手書きやワープロ書きのものでしたが、今は、ほぼ9割以上の自治体で、戸籍はコンピュータ管理になっています。

コンピュータ管理をしている自治体では、戸籍謄本は「全部事項証明書」、抄本は「個人事項証明書」という書類になり、名称も変わりました。

役所で「謄本」と「抄本」で通じると思いますが、今では通じないところもあるかもしれないので、

謄本→全部事項証明書
抄本→個人事項証明書 と名称が変わったことを覚えておきましょう。 

「謄本」と「抄本」の言葉の意味

言葉としての「謄本」と「抄本」の違いについて理解しておきましょう。

謄本とは写本、すなわち手書きで書きうつした本や文書のことを指します。

これに対して抄本とは、元となる本の内容を抜き書きして作った本や文書のことを指します。

つまり謄本と抄本の言葉上の違いは、◆全て丸ごと書きうつしたのか、◆一部だけ書きうつしたのか、という点にあるのです。

また、謄本の「謄」という漢字には「原本通りに書きうつす」という意味があり、抄本の「抄」には「さっと表面をすくいとる」「書物の字面をうつしとる」という意味があります。

漢字の意味を覚えておけばどちらが全部を書きうつしたものなのか、一部を抜き書きしたものなのかを迷うことはないですね。

取得方法と費用

戸籍謄本と戸籍謄本の取得場所は、戸籍の内容が記載されている「戸籍原本」が本籍地の役所が管理しているため、本籍地の役所で交付してもらうことになります。

本籍地と現住所が違い、離れている場合は、郵送で取り寄せることもできますので、役所に問い合わせるようにしてください。

◆自分の本籍地が分からない場合

(1)親兄弟、親族に尋ねる・・・当たり前ですが、一番手早い方法です。

(2)古い運転免許証・・・現在のICチップ入りの運転免許証からは、個人情報保護の観点より、本籍地の記載は削減されてしまいました。
ですが、以前の古い運転免許証には本籍地が正確に地番まで記載されています。そのため、以前の運転免許証を探すという方法があります。

(3)古い戸籍謄本/抄本/住民票・・・以前取得した戸籍謄本/抄本/住民票に、求めている「本籍地」が記載されている場合があります。

(4)現在の住民票に本籍地の記載を入れて取得・・・現在の住所登録している役所に、住民票を請求する方法があります。
本籍地を記載して欲しい旨を伝えれば、現在の自分の本籍地が記載された住民票を入手することが可能です。

(5)在留届・・・アメリカなどで、領事館へ提出した場合。領事館に確認してみるのもいいかもしれません。
  

費用についてですが、「戸籍謄本」「戸籍抄本」ともに、一通交付してもらうのに、450円の費用がかかります。

目的別の戸籍謄本と戸籍抄本の選び方

「戸籍謄本」と「戸籍抄本」の違いが分かったところで、目的別にどちらを用意したらいいのかなどをまとめました。

パスポート申請

パスポートを申請するさいに、「戸籍謄本」「戸籍抄本」どちらか一通が必要になります。

ただし、6ヶ月以内に発行されたもの、となっていますので注意してください。

同一戸籍内の家族が同時にパスポート発行を申請する際には、「戸籍謄本」または、申請者本人の「戸籍抄本」一通で全員分が申請することができます。

婚姻届

婚姻届を提出する際には、基本的に「戸籍謄本」が必要になります。

市町村の役所によっては「戸籍抄本」でもよい、とされているところもありますので、婚姻届を提出する役所に問い合わせるか、心配なようでしたら「戸籍謄本」を用意しておいた方が安心です。

ちなみに、婚姻届を提出する役所がふたりとも本籍地である場合には「戸籍謄本」「戸籍抄本」は必要ありません

どちらか、あるいはふたりとも本籍地が違う場合には、「戸籍謄本」「戸籍抄本」が必要になります。

就職

就職に関しても提出しなくてはならない書類がたくさんあります。

応募に関しては「戸籍謄本」「戸籍抄本」の提出は必要ありません。

ですが、就職後に関しては、提出を求められる場合があります。

入社時提出する書類の中に「戸籍謄本」「戸籍抄本」はありません。

「戸籍謄本」「戸籍抄本」の取り扱いは厚生労働省の通達によって、入社前に提出を求めることはできないことになっています。

ただし入社後であれば、本当にその情報の必要性ある場合、そのときに限って提出を求めることができます。

例えば、労働者の権利義務確認のために必要な時点(冠婚葬祭等特別給付があるとき等)に、本人にその内容・目的を十分説明の上、提出を求め、確認後速やかに返却するように、とされています。

入社後であっても、必要性に納得がいかない場合は、提出を拒否することもできます。

相続

不動産の相続に関しては「戸籍謄本」が必要になってきます。

不動産を相続するのに「相続登記」をしなくてはいけません。

「相続登記」とは、不動産の所有者が亡くなった場合、その不動産の登記名義を被相続人(亡くなられた方)から相続人への名義変更を行うことをいいます。

その「相続登記」の際には、被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの「戸籍謄本」と、相続人の現在の「戸籍謄本」が必要になります。

養子

養子縁組には「養子縁組届」の提出が必要になります。

届出地は「養親または養子の本籍地、もしくは所在地」となっています。

「養子縁組届」の提出には「戸籍謄本」が必要ですが、養親・養子の本籍地に届を提出する場合は、本籍地の人の「戸籍謄本」は必要ありません。

届の提出地が所在地で、養親・養子のどちらの本籍地でもない場合は、どちらも「戸籍謄本」が必要になってきます。

養子縁組をすると、戸籍にその旨が記載されることになります。

養子縁組後の戸籍にはいくつかのパターンがあり、少々複雑です。

現在の戸籍を出て養親の戸籍に入ったり、夫婦の場合は新戸籍を作ったりなどいろいろあるでしょう。

 

まとめ

戸籍謄本は自分だけでなく、家族全員の戸籍情報が記載されており、戸籍抄本は、自分の戸籍情報のみ記載されているという違いが分かりましたね。

現在ではほぼ9割以上の自治体で、戸籍はコンピュータ管理になっており、その自治体では戸籍謄本は「全部事項証明書」抄本は「個人事項証明書」という書類になり、名称も変わりました。

◆パスポート申請・・・戸籍謄本か戸籍抄本のどちらか。ただし必ず6ヶ月以内に発行されたもの。

◆婚姻届・・・夫婦のどちらか、あるいは2人とも本籍地とは異なる場所に婚姻届を提出する際には、戸籍謄本か戸籍抄本のどちらかが必要。

◆就職・・・応募と入社の際に戸籍謄本と戸籍抄本を提出する義務は無いが、入社後に提出を求められる可能性あり。

◆相続・・・「戸籍謄本」が必要。

◆養子・・・養子縁組届の提出地が所在地で、養親・養子のどちらの本籍地でもない場合は、どちらも「戸籍謄本」が必要になってきます。

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