「生かす」と「活かす」は読み方は同じですが、使っている漢字が違いますよね。
「生かす」と「活かす」の違いやそれぞれの意味は何なのでしょうか?
意外に「いかす」はどっちだっけ?とパッと違いを答えられない人は多いそうなんです。
そこで今回は、「生かす」と「活かす」の違いと意味を調査してきました!
さらに、「経験を“いかす”」などに使うのはどっちの漢字が本当は正しいのかもご紹介します。
「生かす」と「活かす」の違い
「生かす」と「活かす」、それぞれこんな違いがあります。
◆「生かす」の意味
・命を長らえさせる
・死なないようにする
・死にかけたものを生き返らせる
・蘇生 (そせい) させる
◆「活かす」の意味
・有効に使う
・活用する
・一度消した文や字句などを復活させる
「生かす」の対象は生命や命。
「活かす」の対象は経験や知識。
このように漢字で違いがあることがわかりますね。
命をいかすのは「生命」の「生かす」
経験や知識をいかすのは「活動」の「活かす」
これらを覚えておくとこんがらがらないかと思いますよ。
それでは「活かす」と「生かす」の違いや意味など2つを詳しく見ていきましょう。
「生かす」の意味とは
「生かす」の意味は、「命を長らえさせる」という意味のように、対象は“生命”です。
「生かすも殺すも」という使い方があるように、「生かす」の対義語は「殺す」になります。
さらに、「生かす」には“生き生きとした生活を送る”といった幅広い使い方もあるのです。
「生かす」を日常で使う場合の例文をいくつか紹介しますね。
■「生かす」の例文
・「死にそうな金魚をどうにかして生かす。」
・「水を小まめに取り替えて、できるだけ花を生かす。」
・「今日釣った魚を生かしておく。」
「生かす」は命に対して使うってことを覚えておくといいでしょう。
「活かす」の意味とは
「活かす」の意味は、「対象とするものを“有効利用する”」という意味を持ちます。
「生かす」と同様に、命を保たせるという意味もありますが、どちらかといえば命そのものより、
・人が持っている経験
・知識
・能力
・特性
・時間
・物事
に対して使用する言葉が「活かす」になります。
それでは「活かす」も日常で使う際の例文を紹介します。
■「活かす」の例文
・「シェフが熟練の技を活かして作った料理。」
・「資格を取るために、長期休暇の時間を活かす。」
・「キャンプで役に立つために、ボーイスカウトの経験を活かす。」
「活かす」は常用漢字ではない
実は、「生かす」は常用漢字なのですが、「活かす」は常用漢字ではありません。
常用漢字表には、活は「カツ」のみで、「いかす」の訓読みが載っているのは「生」だけなのです。
常用漢字とは
「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」
簡単にいうと、「常用漢字=一般常識」なので、常用漢字をメディアでは使いましょうというルールがあるようです。
そのため、常用漢字の使用をメインとする新聞や雑誌、公文書においては、「活かす」ではなく「生かす」が使用されています。
意味合いとしては「活かす」が正しいように思える場面でも、メディアでは常用漢字の「生かす」を使っているケースも多いようです。
しかし、「生かす」には“生き生きとした生活を送る”といった幅広い使い方もあります。
そのため、迷ったら「生かす」を使うようにしておけば誤用は避けられるということになりますね。
と、このようにメディアなどでは「生かす」が使われているとこんがらがってしまうかもしれません。
そして「では履歴書とか大事な書類の場合はどうすればいいの?」と思うかもしれませんので、その場合について調査してみました。
履歴書など大事な書類はどっちを書くのが正しいのか
就活や転職の際に書く履歴書で「私はこれまでの経験を“いかして”」というのはどっちが正しいのでしょうか。
正解は「活かす」です。
先ほど、「活かす」は常用漢字ではないので、テレビや新聞、公文書では使えないといいました。
しかし、履歴書は公文書ではないため、主張したいことに意味合いがより適合している「活かす」を使用することが一般的です。
さらに、「活かす」は常用漢字ではありませんが、辞書には「経験を活かす」という言葉が載っています。
なので、履歴書に「経験をいかす」と書く場合、「活かす」を使っても間違いではありませんよ。
まとめ
「生かす」と「活かす」の違いと意味をご紹介しました。
あらためて「生かす」と「活かす」の違いや意味をまとめておきますね。
◆「生かす」の意味
・命を長らえさせる
・死なないようにする
・死にかけたものを生き返らせる
・蘇生 (そせい) させる
◆「活かす」の意味
・有効に使う
・活用する
・一度消した文や字句などを復活させる
「活かす」と「生かす」の違いは命に対するか、経験に対するか。
「生かす」の対象は生命や命で、「活かす」の対象は経験や知識ということが分かりました。
しかし、「活かす」は常用漢字ではないので、常用漢字をメインとするメディア、公文書では「生かす」しか使われません。
しかし、履歴書や日常生活において、経験や能力、時間などに対する場合「活かす」を使う方が相手も分かりやすい気がします。
「生かす」と「活かす」の使い分けを知った上で、それぞれスムーズに使えるようになっていただけると嬉しいです。
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